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Marketing columnマーケティングコラム

23.05.31

工務店

工務店が抱える黒字倒産のリスクとは?資金繰り改善・黒字化に繋げるカギを解説

「勤めている工務店が倒産した・・・」
「工務店の経営が立ち行かず倒産しそう」
こうした不安や喫緊の課題感を抱えながら工務店で働いている方、経営をされている方もいらっしゃるかもしれません。

そもそも工務店は、商品やサービスの特性から入金サイクルが複雑で、仮に黒字経営でも倒産するいわゆる黒字倒産のリスクの高い業界です。

そもそもなぜ黒字状態で倒産する可能性があるのか。資金繰り悪化の理由や解決策、直近の事例などをご紹介していきます。

全国600社以上の工務店・ハウスメーカー・住宅会社様の「Webでの集客アップ」のお手伝いをしている株式会社新大陸が執筆しています。

▼執筆者紹介

古作 雄一郎

プロデューサー

古作 雄一郎

前職では、大手都市銀行のグループ会社にて、経営計画策定や計数管理を担当。データに裏付けされたロジカルな提案が信条。データ分析から導き出した販促費用・媒体の最適化により、問合せ数を増加させつつ、年間販促費2,000万円削減を実現した手腕の持ち主。様々なクライアントに対する豊富な知見からクライアント毎の課題を可視化し、費用対効果を考えた上で施策の優先順位を考え、最終的な課題解決・成果創出にコミットしている。

工務店の倒産は増加傾向?

2021年の建設業者の倒産件数は、各種支援策が政府から発表された効果もあり、過去最少となる1066件となりました。

材料費や外注費の高騰に加え人手不足の問題もあり、コストアップによる採算悪化も問題視されましたが、この問題に対して政府は実施した実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資を実施し、工務店の資金繰り環境が改善されたことも倒産の大幅な抑制に繋がっています。

参照:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220114.pdf

帝国データバンクの建設業における倒産件数の推移を見ても、負債額・倒産件数ともに減少していることがわかります。

さらに「TKC経営指標(建設業)」によると工務店のうち約50%が黒字(令和3年11月決算~令和4年1月決算)としており、業績好調なことが伺えます。
参照:https://www.tkc.co.jp/bast/disp_bast.asp?param=site:zenkokukai,gyosyu:kensetsu&_fsi=AArMmnWb

それでは工務店は倒産する心配はないのでしょうか。

判断は分かれるところではありますが、倒産件数が少なく、黒字経営だからといって決して安心できるわけではありません。大きなお金が動く工務店には「黒字倒産」のリスクが伴うためです。

そもそも黒字倒産とは

黒字倒産とは帳簿は黒字なのに資金がショートしてしまい、経営が立ち行かなくなることです。

工務店は環境要因や営業活動、さらには建築現場の状況や工程進捗によっても売上が変動するため、見込んでいた収益を確保できないケースがあります。

建設業界の取引は入金サイクルが複雑であることもあり、売掛金が回収できず資金繰りが悪化し黒字倒産に至ることがあります。倒産していなくても財務状況が悪化することで、支払いができなくなり工事の進行が滞ったり、社員の給与が支払えなくなったり、こうしたことが重なり倒産に向かう悪循環に陥る企業も存在します。

工務店が黒字倒産する理由は?

工務店が黒字倒産する理由としては、不渡りの売掛金が多発して資金繰りが悪化するケースが多いです。業績が急激に悪化しているにもかかわらず、資金繰り対策が講じられていない場合もあります。

具体的には、一般的に工務店は契約後に手付金の支払いを受けて建築をスタートします。全額を回収できるのは建物を引き渡してからになります。建築物が完成するまでには数ヶ月〜1年ほど掛かるため、資金繰りの悪化で建築途中で発生する様々な支払いができなくなり黒字倒産に向かうわけです。

個人事業主として開業する工務店では、各種支払いに必要な資金を自己資金から出していることから、より適切な資金繰りができていないケースが多いです。住宅供給公社など大手企業の参入により価格競争が激化、利益率が低下して苦境に陥るなど様々なケースがあります。

工務店が倒産したら建築中の建物はどうなる?

もし工務店が建築中に倒産した場合、工事は続行されるのか、すでに支払ったお金はどうなるか、働く社員はどうすべきか、なども気になると思います。結論から言いますと、工事の継続可否や法的手続きの種類によって異なるため一概にはいえません。

ここからはもし工務店が倒産したらどうなるのか、その影響について解説いたします。

倒産時の法的手続きによって異なる

工務店が倒産した場合、建築中の建物はどうなるのでしょうか。先程解説したとおり、倒産時の法的手続きによってその対応は異なります。倒産すると破産管財人が建築中の建物を引き継ぎ、請負契約の解除するか、工事を継続して完成させ請負代金の請求をするか、いずれの対応を取ることになります。

施工業者と施主双方の債務が完了していない場合には、再生債務者または破産管財人が建築中の建物を引き継ぐかどうかを判断します。

支払い済みの前払い金はどうなる?

では工務店が倒産した場合、支払い済みの前払い金はどうなるのでしょうか。破産手続きで契約の解除が行われた場合は、破産手続きの中で前払い金の払い戻しが行われます。財団債権として財団が不足する場合には、一部もしくは全額支払われない可能性もあります。

倒産した工務店の社員はどうなる?

会社更生法の適用が認められた場合は、しばらくは業務の継続や雇用の維持が可能になります。自己破産となった場合は給料を受け取れなくなり、従業員にとって生活に関わる問題となります。

また、解雇に伴って従業員は破産管財人から賃金や退職金の請求を行うことができますが、倒産して会社にお金がない場合には難しい場合も考えられます。

工務店の資金繰りが悪化する理由とは

資金繰りが悪化する工務店に共通する課題をいくつか取り上げてみます。
鍵になるのは資金繰り表・入金スケジュール・予実ブレの3つです。

資金繰り表が1ヶ月先までしか作成されていない

まずは、資金繰り表が1ヶ月先までしか作成されていないことが挙げられます。資金繰り表は、受注した工事の収支状況を把握するために不可欠なツールであり、綿密な計画を立てることで資金繰りの管理が容易になります。しかし、短期的な計画しか立てず、将来の見通しを持っていない工務店は、資金繰りの危機に陥る可能性が高まります。

入金スケジュールを把握していない

正確な入金スケジュールを把握していないことも大きな問題となります。受注した工事に対して「いつ・誰から・いくら」の入金スケジュールを把握しておかなければ、手元にいくら使えるキャッシュがあるのかわかりません。

仮に資金繰りが厳しくても、入金スケジュールを正確に把握していれば工程に応じて必要な資金を調達することも検討でき、支払い期日に遅れることなく支払いを行うことが可能になります。

予実ブレが大きすぎる

予実ブレとは予算と実績の差異のことです。予実ブレが大きすぎる場合、資金繰りがじわじわと悪化していくこともあるので注意が必要です。

工務店は天候不良による工事の延長や追加の建築資材の発注などにより予実ブレが発生しやすい業種ではありますが、予算の上限を超えるような大幅な予実ブレは収支のバランスを崩し、資金繰りが大きく悪化する原因となります。

【実例】倒産した工務店とその影響を実例で解説します

最初にご紹介しましたが、建設業界では倒産する企業が年間数百社に上ります。ここでは、過去に倒産し大きな社会問題にもなった工務店「富士ハウス」と「アーバンエステート」の例を取り上げ、倒産原因とその後の影響について解説します。

「富士ハウス」の倒産原因と影響

富士ハウスは、神奈川県内を中心に展開していた工務店で、中小企業振興基本法に基づく中小企業に対する支援制度の適用を受けていました。しかし、不動産バブル崩壊後の景気低迷や競合他社との価格競争などにより、業績が悪化。経営再建を断念し、2018年に破産手続きを開始しました。

負債総額が約640億円の大型倒産となりましたが、問題はこれで終わりませんでした。

倒産により多数の建築中の物件が未完成のまま放置され、注文者が返金や工事引き継ぎなどを求めて訴訟や告訴に発展しました。

「アーバンエステート」の倒産原因と影響

アーバンエステートは、埼玉県内を中心に展開していた工務店で、住宅や商業施設の設計・施工を手がけていました。しかし、建設中の物件において施工不良や品質不良が相次ぎ、クレームが殺到。さらに、人件費や材料費の急激な上昇も重なり、資金繰りが悪化しました。

負債総額は約55億円となり民事再生を申請するものの認められず、2019年3月30日に自己破産にいたりました。

倒産後、500棟もの未着工と未完成物件が放置され、注文者や下請け業者に対する未払い債権もありました。その後、被害者の集団訴訟に発展し、経営者ら4人が詐欺罪で逮捕されるなど、残された未完成物件の対応と合わせて大きな社会問題となりました。

資金繰り改善・黒字化に繋げる方法は?

こうした倒産のリスクはできる限り避けたいものです。倒産リスクを下げるために、工務店が資金繰りを改善し黒字化に繋げる方法として、以下の方法が有効です。

  • 長期の資金繰り表の作成
  • 予実管理を徹底する
  • 銀行融資を活用する

それぞれについて以下で詳しく解説いたします。

長期の資金繰り表の作成

資金繰り表は、現在の現金残高や支払い予定、入金予定などを明確に把握するために非常に重要となります。しかしながら中小、零細の工務店では、短期的な資金繰り表しか作成していないケースもあるようです。

短期的な資金繰り表では、いざ支払いや入金が重なった場合に支払いを行えない危険性があります。

資金繰り表は数ヶ月単位の長期的なものを作成して、都度見直しを行うことが重要です。これにより、将来のキャッシュフローを正確に予測し、必要な資金調達の計画を立てることが可能になります。

予実管理を徹底する

黒字倒産を防ぐためには、資金繰り表の作成と合わせて突発的な支払いが発生しやすい現場の管理を徹底することも重要です。

予算どおりに進んでいるかどうかを都度確認し、計画に対して大きなズレが発生しないような対策が求められます。自社の在庫を正確に把握しておくことも、無駄なコストを抑えることに繋がります。

銀行融資を活用する

資金繰り表からキャッシュフローが厳しいと判断した場合には、銀行融資も検討できます。黒字経営であれば比較的融資を受けやすいと言われますが、資金繰り表も判断基準になるため資金繰りが見えない、悪化している企業には融資が出ないことも考えられます。

銀行融資には審査に時間が掛かることもあり、普段から正確な資金繰り表を用意しておくことで、銀行融資の活用の際にも役立ちます。

まとめ

ここまで工務店の黒字倒産についてご説明してきました。

工務店は入金サイクルが複雑で、突発的な支払いや予実ブレも起きやすいため、黒字倒産のリスクが大きい業種だといえます。

これらの問題を解決するためには、長期の資金繰り表を作成し、正確な入金スケジュールを把握し、予実管理を徹底し、銀行融資を活用する際には審査に時間が掛かることを理解して早めに動くことが重要です。

仮に現時点で黒字経営で順調だとしても、油断せず、もしもに備えた準備が安定した工務店経営に繋がります。

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