工務店の見込み客管理の重要性とは？顧客育成に取り組みビジネスに繋げるポイントを解説

工務店での顧客管理は、営業成績の向上や成約率のアップなど、ビジネスを成功に導くために欠かせない重要な要素のひとつです。

しかし、具体的な管理方法が定まっていない、最適な顧客管理システムがわからないなど、お悩みの方は多いのではないでしょうか。

この記事では、見込み客の定義から管理のメリット、工務店での見込み客管理が難しい理由、そして代表的なCRMの紹介まで、わかりやすく解説していきます。

顧客管理の効果をしっかりと理解して、適切なシステム導入や運用体制を整備することで、ビジネスの成功につなげていきましょう。

全国６００社以上の工務店・ハウスメーカー・住宅会社様の「Webでの集客アップ」のお手伝いをしている株式会社新大陸が執筆しています。

工務店で必要な「見込み客の管理」とは？

工務店で必要な見込み客の管理とは、顧客に関するあらゆるデータを管理することを指し、代表的な管理項目として以下があげられます。

• 氏名
• 年齢
• 性別
• 住所
• 電話番号
• メールアドレス
• 要望一覧
• 訪問履歴
• 施工履歴
• 購入履歴
• 納期

見込み客の情報を営業担当が各々で管理している場合、営業担当者が退職や休職した際に案件の引き継ぎに大きな支障をきたします。

反対に見込み客の情報を会社が一元管理することができれば、営業担当者の代替を確保できるほか、データを活用して将来的な受注予測も立てやすくなるでしょう。

「見込み客」の定義を明確にする

見込み客とは、工務店が提供する商品やサービスに関心を持っている潜在的なお客様のことを指します。工務店の見込み客は、具体的なニーズや要望を持っている場合もあれば、まだ何を求めているのか、顧客自身でもはっきりしていない場合もあります。

そのため、営業担当者は見込み客の温度感や購入意欲の高さを見極めて、タイミングを図ってクロージングやアプローチを行うことが重要です。

また、確度の低いお客様に対しては、有益な情報を掲載したニュースレターやチラシ、メールやDMを定期的に送付することで、自社を印象付ける施策が必要になります。

【メリット】なぜ見込み客の管理をするのか

工務店がなぜ見込み客の管理をするのか、顧客管理が重要である理由とメリットについて、詳しく解説していきます。

見込み客を「顧客ランク」で分けて管理を行う

顧客ランクとは、顧客を行動や実績に応じてランク付けして、優先順位を明確にする作業のことを指します。

見込み客の属性や関心を分析し顧客ランクで分けて管理を行うことで、優先的にアプローチすべき確度の高いお客様を特定することができます。

また、ランク分けされた見込み客には温度感によってそれぞれ異なるアプローチが行えるため、営業活動の効率化にもつながります。

見込み客は、まだ購入や契約に至っていないため、問い合わせ回数やイベント訪問数などに応じてランク分けを行いましょう。

商談の精度を上げる、営業アプローチの工夫

見込み客を管理することで、営業担当者は顧客の属性や関心に基づいた、より的確なタイミングと内容でアプローチを行うことができます。

例えば、工務店が新たに立地条件の良い建売住宅を建てた場合、顧客データをもとに駅近や学校が多いなど希望条件が合う顧客をすぐに把握できたとします。れば、その後の営業活動にたいへん有利です。

見込み客をすぐに絞り込めれば、該当する顧客に迅速に提案を行えるため、スピード感を持って営業活動をすることができます。

また、営業後の成果分析もしやすくなるため、営業活動の最適化につながり、商談の精度を向上させられるでしょう。

成約率や売上見込を立てやすくなる

情報やデータを活用して見込み客の管理を行うことで、工務店の成約率や売上見込を立てやすくなります。

例えば、過去のデータを分析することで、無料相談会や住宅展示場に来た顧客の成約率やクロージングまで至る確率、契約するまでの平均期間などを知ることができます。

将来的な売上見込が立てられるようになると、次のイベント開催日や資材の手配などのスケジュールも組みやすくなるでしょう。

工務店の見込み客管理が難しい理由

工務店が見込み客の管理を行うことは、前述したように多くのメリットがありますが、その一方で、以下の理由から管理が難しいという課題があります。

• 営業活動が属人化されている
• 頭の中・紙での管理が常態化している
• チームで動く体制が仕組み化できていない

ここからは、工務店の顧客管理が難しい理由について詳しく解説していきます。

営業活動が属人化されている

営業活動の属人化とは、業務のプロセスやノウハウが組織で共有されず、各営業担当の活動内容が不透明な状態になっていることです。

工務店では、営業担当者が各々の見込み客を担当することが一般的で、見込み客の管理が属人化される傾向があります。

属人化されていると、営業メンバー内での成績のばらつき、新人教育の遅れ、非効率的な営業活動など、さまざまな問題が引き起こされます。

また、営業担当者が退職した場合、その見込み客の情報が失われるというリスクもあり、事業運営上の深刻な問題にもつながっていきます。

このような問題を避けるには、顧客管理システムを導入し、見込み客の情報やデータを会社が一元管理する方法が有効です。

頭の中・紙での管理が常態化している

急速にIT化（ICT化）が進む建築業界ですが、地方の工務店においては営業担当者が見込み客の情報を頭の中や紙で管理することも少なくありません。

しかし、このような記憶や紙媒体に頼る管理方法では、情報が欠落する可能性が高く、情報の共有や分析が難しいという問題があります。

また、営業担当者が多数の見込み客を管理する場合、情報の整理や更新が煩雑になることも考えられます。

顧客管理システムで情報の電子化を行えば、社内の情報共有が簡単になることはもちろん、保管コストの削減や書類の紛失を防止など、さまざまなメリットを享受できます。

チームで動く体制が仕組み化できていない

工務店の営業活動は、営業担当者が個人で動くことが多く、見込み客の管理がチームで行われることは少ないのが現状です。

会社によって情報を一元管理することで、情報の共有や分析が容易になるとともに、営業担当が交代した場合でも、引き継ぎがスムーズに行えるようになります。

しかし、営業担当者はそれぞれ異なるスキルや経験を持っているため、チームで動く体制を仕組み化することは、容易なことではありません。

営業をチームで働く体制に仕組み化するには、メンバー同士が協力し合い、タスクを分担して、営業プロセスを改善することが求められます。

工務店の見込み客管理を成功させるポイント

工務店が見込み客の管理をするメリットや難しさを踏まえた上で、顧客管理を成功させるためには、以下のポイントを押さえると良いでしょう。

• 営業負荷の小さいCRMを活用する
• CRM導入が難しい場合はスプレッドシートで管理
• エクセルと違って、チームで共有、同時作業できることを伝える
• 仕組みや運用体制も整備する

ここからは、工務店の見込み客管理を成功に導く４つのポイントについて、詳しく解説していきます。

営業負荷の小さいCRMを活用する

多機能なCRM（顧客管理システム）は一見すると魅力的に感じられますが、操作の複雑さや入力項目の多さから、かえって負担が増える場合もあります。

工務店がはじめてCRMを導入する際は、目的に合った機能をカバーしている、営業負荷の少ないCRMを活用することが重要です。

必要最低限の機能であれば、社内での運用も定着しやすく、また導入費用も安く抑えることができます。

営業の現場で使ってもらわなければ意味がないため、現場の声も取り入れつつシステム選定を行いましょう。

CRM導入が難しい場合はスプレッドシートで管理

まとまった費用を捻出できないなどの理由でCMR導入が難しい場合は、スプレッドシートを活用して顧客管理することをオススメします。

スプレッドシートはエクセルと同じ仕様感と機能性を持ちながら、エクセルではできない、チーム内のデータ共有や同時作業が行なえます。

また、スプレッドシートはクラウド上にデータを保管するため、インターネット環境さえあれば、スマホ・タブレット・パソコンなどデバイスを選ばずにアクセスできます。グーグルアカウントがあれば無料で使うことが可能なので、コストを重視する方には適したシステムだと言えます。

仕組みや運用体制も整備する

CRMやスプレッドシートなどのシステム導入だけでは、見込み客管理を成功させることはできません。

例えば、資料請求や問い合わせがあった場合、対応する担当者やフォロー体制、対応した方が顧客データにアクセスできる仕組みが作れていなければ、顧客が満足する対応は難しいでしょう。

また、情報の入力ルールや更新頻度の設定が明確でなければ、情報が読み取りづらい、古い情報が混ざっている、雑な運用になってしまい効果が半減してしまうなどの問題も発生します。

顧客管理を行う場合は、営業努力を無駄にしないためにも、しっかりとした仕組み作りと運用体制の整備が必要になります。

代表的なCRM【工務店の見込み客管理向き】

ここからは、業務効率化や売上向上を期待できる、工務店向けの顧客管理システムを４つ紹介します。

• AnyONE
• Patio
• Oasis
• アイピア

以下で詳しく解説していきます。

AnyONE

エニワン株式会社が提供する「AnyONE（エニワン）」は、10年以上のノウハウと導入実績2,700社超を誇る、建設業界に特化した基幹システムです。

見込み客の情報や進捗を会社全体で管理できる顧客管理機能はもちろん、工事や施工管理、見積もり書の作成、入出金管理など、さまざまな用途で利用できます。

クラウドにデータが保管されるため、今まで帰社しないと確認できなかったデータもスマホやタブレットで場所を選ばず確認できます。

また、AnyONEはエクセルに似た操作感を持っており、ITの苦手な方でもストレスフリーで使用することができるでしょう。

参照：https://www.any-one.jp/lp/anyone/

Patio

Patio（パティオ）とは、複数の工務店が協力開発して作り上げた、工務店業界に特化した顧客管理システムです。

工務店の要望から生まれたこのシステムは、工務店の業務に必要な機能や項目だけをわかりやすくパッケージしており、無駄のないシンプルな設計に仕上がっています。

導入にあたってサーバーマシンの購入やソフトウェアのインストールは不要で、クラウド上のパティオにアクセスしてすぐに利用を始めることができます。3ヵ月間の無料トライアル期間では、制限されることなく全ての機能を試すことが可能です。

参照：https://thehouse-patio.jp/

Oasis

売り上げマネージャーOasis（オアシス）は、工務店やハウスメーカーなどの建築業界に特化したシステムです。工務店における多様な業務で収集・入力したデータを、Oasisで一括管理することで、無駄な作業の削減を図れます。

また、顧客管理をはじめ、予算管理や原価管理、経営管理など工務店に必要なあらゆる管理を行えるため、業務の効率化を期待できます。さまざまな財務会計ソフトに連携可能なので、経営状況がよりクリアに視覚化できるようになるでしょう。

参照：http://www.kskoasis.com/about.html

アイピア

業務管理するアイピアは、顧客管理から営業・工程進捗管理、アフターフォローまで、さまざまな業務に対応しています。不要な機能を非表示できるなど、パソコンスキルやITスキルに自信がない人でも安心して使いこなせるUIなので、年齢層を問わず誰でも使用できます。

また、専用のメール相談窓口や操作方法をいつでも確認できる動画マニュアルも配信するなど、充実したサポート体制も魅力です。

アイピアではライト・ベーシック・プロフェッショナルの３つのプランが用意されており、自社の利用人数や運用フェーズに合わせたサービスを受けられます。

参照：https://aippearnet.com/

まとめ

この記事では、見込み客の定義から管理のメリット、工務店での見込み客管理が難しい理由、そして代表的なCRMツールをご紹介しました。

見込み客の管理を叶える顧客管理システム（CRM）は、工務店で取り扱う顧客情報から、工事の進捗状況までさまざまな情報を管理できます。

しかし、時間と労力をかけて導入した見込み客管理システムも、仕組み化や運用体制が整えられていない場合、十分な効果を得られないことがあります。

見込み客管理を成功させるためには、自社の規模や運営スタイルを鑑みて、最も適したシステムを選ぶようにしましょう。